節約術と医療:差額ベッド代の請求を拒否するリスクについて 医療者の見解
twitter上で差額ベッド代の支払いを拒絶できることがお得情報として流れています。
しかし鵜呑みにすると痛み目を見ることになりますのでこちらにて私見を述べます。
気づかないまま被る可能性のあるデメリット
・面倒な患者だと思われる(腫れ物に触る扱いを受ける)
一般的にはベッドコントロールは看護師長の仕事になります。
病棟で患者さんに普段接するのは看護師です。
その看護師が異変に気付くと、看護師リーダー、医師に報告します。
看護師長に睨まれると、この報告ラインに支障をきたしかねません。
・早期の自主希望退院、慢性期病院へ転院方向となる。
DPCシステムにより、疾患ごとに定額の費用となります。
そのため病院側としては過剰な検査をすることなく早期退院を目指しています。
そのため本質と逸れる疾患(例えば、入院中に高血圧、水虫、貧血が見つかったなど)の治療は医師の善意に基づきます。
こういったサービスを失う可能性があります。
・そもそも入院を断られる
救急外来にて、救急隊より受け入れ依頼の電話を医師が受けます。
救急医は看護師長よりベッドの空き状況を適宜伝えられます。
そのため無料の大部屋が満床の場合は、有料個室でも構わないかを救急隊を通して確認します。
そこで「有料ベッドは不可」「病院都合であれば差額ベッド代は支払う義務はない」などと言ってしまうと病状によっては別の病院を当たるように言われてしまうでしょう。
しかし、節約はしたい
とはいえ個室は高いです。1泊5000〜30000円まで病院によって、空き状況によって提供される空き部屋はまちまちでしょう。
そのため、無料ベッドが空き次第、移らせてもらうように事前に伝えるのが効果的です。退院患者が現れ次第、移らせてもらえます。
素人がgoogle検索で知った気になって、振る舞うと損をします。
こういったありのまま伝えると病院側に不都合のある、かつ
あなたの被る可能性のあるデメリットの説明などは誰もしません。
得したつもりで損をしています。
古来より「生兵法は怪我の元」と言います。
数万の個室代をケチって何になるのでしょうか?
ご自身とご家族の健康に勝る宝はありません。
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