Johnson &Johnsonの訴訟にみるオピオイドの功罪について 医療者の見解
アメリカで8/26 J &Jのオピオイド過剰摂取による中毒の蔓延を
招いたとする裁判の判決が出されました。
市場が予想していた賠償金より圧倒的に低額だったため、JNJの株価は
上がったとのことです。
そもそもオピオイドとのは何でしょうか?
簡単に言うと鎮痛薬(医療用麻薬)です。
一般的な解熱鎮痛薬として
などを内服された経験のある方も多いと思います。
WHOでは鎮痛薬の使用は下記の3段階をstepを踏むように提唱しています。
ラダー(階段)を上がるごとに鎮痛作用は強くなります。
ロキソニンは1段階目、トラマドールは2段階目、モルヒネは3段階目になります。
この2段階目、3段階目に相当する薬がオピオイドです。
一般的な鎮痛薬の効かない強い疼痛を抱える方(例えば手術直後の患者、癌患者)に対して処方されるのがオピオイド鎮痛薬です。
モルヒネは戦争映画にもよく使われる即効性のある鎮痛薬ですね。
一般的な使用による副作用としては便秘、嘔気、眠気です。
過剰投与によっては呼吸抑制が起こることもあります。
効果不十分であったり、副作用が強い場合は、オピオイドローテイションといって
別のオピオイドに切り替えて対処します。
つまり過剰投与する事なく切り替えれば良いのです。
また適量使用であれば耐性は付きにくい、依存性は高くないと指摘されています。
日本国内では麻薬・依存性という言葉が一人歩きをして、過剰どころか必要十分量の使用されていません。
依存性もあり今回の訴訟では、
製薬会社が処方量を増やすために、依存性に対する医者への説明が不十分だった事が、過剰投与による、中毒の蔓延・死亡(1999〜2017年に40万人)を招いたとする訴訟でした。
JNJはパッケージにて危険性の説明はしているとし、控訴する方針です。
私の見解
米国でどの程度の量を処方していたのかが、インターネット検索では見つからないので、適量か過剰かはわかりません。
ただオピオイド系鎮痛薬が処方、投与された末期がん患者・手術直後の患者を目の当たりすると、その効果・即効性の強さは何物にも変え難いとすぐに実感できます。
お年を召された患者さんたちは「痛いだけなら死んだほうがマシだ」と口を揃えたようにおっしゃられます。そしてそれは、一時の気の迷いなどではなく本心なのでしょう。
一連の訴訟が、オピオイド使用の萎縮に繋がらないことを切に願います。
関連記事: